「No, not old. It’s owed. Your mouth shape is completely different.」
——A先生にレッスン中、音読を止められた瞬間です。自分では同じ音を出しているつもりだったのに、ネイティブには全く別の単語に聞こえていた。
A先生は発音矯正の鬼。僕のレッスンログを数えたら、発音を直された回数は60回以上。しかも同じミスを何度も繰り返していました。
この記事では、その中から日本人が特にハマりやすい発音の罠を15個、カテゴリ別に紹介します。
✍️ この記事を書いている人(フクさん)
純ジャパ → TOEFL108 → 世界Top15大学院(QS/THE)GPA4.0。
Camblyを2年以上使い倒した英語学習メンター。精神論ではなく再現性のある方法を伝えます。
✅ この記事でわかること
- 日本人が間違えやすい母音の区別(old vs owed、slip vs sleep)
- 「ダークL」の正体と練習法
- project を「プロジェクト」と読んではいけない理由
- リダクションと連結の基本
シマちゃん(読者代表)
発音って独学で直せる気がしないんだけど…
フクさん(筆者)
正直、独学だけじゃ無理だった。でも「どこが間違ってるか」を知るだけで練習の精度が全然変わるよ。
母音の罠 — 似ているようで全然違う音
日本語の母音は5つ。英語は数え方にもよりますが15〜20以上あります。この差が全ての元凶です。
#1 old / told / sold の「暗いO」
記事の音読中、”old” を「オールド」と読んだら即座に止められました。
🔊 僕の発音
old → 「オールド」(日本語のオーをそのまま伸ばす)
🎯 ネイティブの発音
old → 「オゥld」(フラットで暗いO。口を丸めず、音を低く保つ)
ポイントは owed(オゥド)と old(オゥld)の違い。実は母音自体はどちらも同じ二重母音「オゥ」で、違いはダークL(後述#5)の有無です。L の影響で old の「オゥ」は暗くこもって聞こえます。日本語の「オールド」のように平坦な「オー」で伸ばすと、二重母音もダークLも消えて、どちらでもない音になります。told、sold、cold も全部この「オゥ+ダークL」です。
🎯 練習のコツ: まず「オゥ」と二重母音で言い切る。その後に舌の奥を持ち上げて、こもったLを添える。「オー」と平らに伸ばさないことが第一歩。
#2 slip vs sleep
記事で “sleep” を読んだとき、「slipに聞こえる」と指摘されました。
🔊 僕の発音
sleep → 「スリプ」(母音が短い)
🎯 ネイティブの発音
sleep → 「スリーープ」(イーを意識して長く伸ばす)
slip → 「スリッp」(短い「イ」で切る)
日本人はどちらも同じ「イ」で処理しがち。でもネイティブには 全く別の音 に聞こえます。実は長さだけでなく音色も違っていて、slip の「イ」は「イ」と「エ」の中間のゆるんだ音、sleep は口を横に引いた鋭い「イー」です。ship/sheep、sit/seat、hit/heat も同じ罠です。
🎯 練習のコツ: 長母音のときは大げさなくらい伸ばす。「イー」を2倍の長さで。
#3 gone の母音
“gone” を「ゴーン」と発音したら、「それだと gown(ガウン)に聞こえる」と言われました。
🔊 僕の発音
gone → 「ゴーン」(日本語のゴにーをつけた音)
🎯 ネイティブの発音
gone → 「ガーン」(box の “o” と同じ音。口を大きく開けて「ア」に近い音)
アメリカ英語では、gone の母音は “box” や “hot” と同じ「ア」寄りの音で発音されることが多いです(「オー」寄りに発音する話者もいます)。いずれにせよ、日本語の平坦な「ゴーン」とは別物。口を大きく縦に開けた「ア」に近い音を目指すと、ネイティブに伝わりやすくなります。
🎯 練習のコツ: “gone” を “gahn” と書き直すつもりで発音する。
#4 calm の L は読まない
🔊 僕の発音
calm → 「カルム」(Lを発音してしまう)
🎯 ネイティブの発音
calm → 「カーム」(Lは発音しない。car の「アー」と同じ母音)
calm の L はサイレント。palm、half、talk なども同じで、L を発音しません。スペルに L があるからといって読んではいけないパターンです。
🎯 練習のコツ: calm = “cahm”。L を完全に無視して発音する。
ダークLの正体 — 日本人が最も苦手な子音
A先生に何度も何度も直されたのが、この「ダークL」です。
ダークL とは、語末や子音の前に来る L のこと。日本語の「ル」とは全く違う音です。
#5 level / travel / animal の語末L
🔊 僕の発音
level → 「レベル」(日本語の「ル」で終わる)
travel → 「トラベル」
animal → 「アニマル」
🎯 ネイティブの発音
level → 「レヴォゥ」(舌の奥を持ち上げて、暗くこもった音)
travel → 「トゥラヴォゥ」
animal → 「アニモゥ」
ダークLの核心は舌の奥を持ち上げて、こもった音を出すこと。舌先は歯茎に軽く触れることもありますが、実際の会話では触れずに母音のようになる(=「ウ」に近く聞こえる)ことも多い音です。日本語の「ル」のように舌先で弾く音とは全くの別物です。
むしろ「ウ」に近い音になります。だから level は「レベル」ではなく「レヴォゥ」のように聞こえる。
🎯 練習のコツ: 語末のLは「ル」ではなく「ウ」のつもりで。舌先は下のままでOK。
#6 also / milk のL
🔊 僕の発音
also → 「オルソー」(Lをはっきり「ル」と発音)
milk → 「ミルク」
🎯 ネイティブの発音
also → 「オーォソウ」(Lは暗く溶け込む)
milk → 「ミォク」(「ル」ではなく軽い「ォ」)
also や milk のように子音の前に来る L もダークLです。はっきりした「ル」ではなく、前の母音に溶け込むこもった「ォ」のような音になります。ちなみに talk や walk は #4 の calm と同じく、そもそも L を発音しない単語なので混同に注意してください。
🎯 練習のコツ: L の位置で口を止めずに、次の音にそのまま流す。
#7 rules は1音節じゃない
🔊 僕の発音
rules → 「ルールズ」(1音節のように早く読む)
🎯 ネイティブの発音
rules → 「ルー・アルズ」(”ru” + “ulz” に分けて練習する)
辞書的にはrulesは1音節ですが、A先生は「ダークLの前に一瞬母音が滑り込むから、”ru-alz” と2つに分けて練習しろ」と指導してくれました。実際、この分解練習をするとダークLの音が格段に出しやすくなります。
🎯 練習のコツ: “roo” で止めて、”ulz” を追加する感覚。ダークLを意識するための練習法。
アクセントの位置が命 — “pro” はプロじゃない
#8 project / problem / process / product
これは衝撃でした。レッスンで “project” と言うたびに直されました。
🔊 僕の発音
project → 「プロジェクト」(日本語そのまま)
problem → 「プロブレム」
process → 「プロセス」
product → 「プロダクト」
🎯 ネイティブの発音
project → 「プラジェクト」
problem → 「プラブレム」
process → 「プラセス」
product → 「プラダクト」
A先生いわく、“pro-” で始まる単語の80〜90%は「プロ」ではなく「プラ」。日本語のカタカナ語が完全に邪魔をしている典型例です。
“probably” も “property” も同じく「プラ」。ただし例外もあります。program や protein は「プロウ」ですし、promote のようにアクセントが後ろにある単語の pro- は、弱く曖昧な「プラ」になります。共通しているのは「日本語の平坦な『プロ』のままでは通じにくい」ということです。
🎯 練習のコツ: カタカナの「プロ」を封印。第1音節にアクセントがある pro- はまず「プラ」を疑う。program「プロウグラム」などの例外は個別に覚える。
#9 detecting / depends / delivery の “de-“
🔊 僕の発音
depends → 「デペンズ」(deを強く読む)
🎯 ネイティブの発音
depends → 「ディペンズ」(deは軽く、第2音節にストレス)
“de-” で始まる単語は、de 自体にストレスを置かないことが多い。detect、depend、deliver、decide — 全部、第2音節が強い。
🎯 練習のコツ: de- は「ディ」と軽く添えるだけ。力を入れるのは次の音節。
#10 profitable の “fit” は伸ばさない
韓国の医療制度について話していたとき。
🔊 僕の発音
profitable → 「プロフィータブル」(-fitを「フィート」と伸ばす)
🎯 ネイティブの発音
profitable → 「プラフィッタボゥ」(pro-fit-a-ble。fitは短い「フィット」)
profit の -fit は “feet” ではなく “fit”(短い母音)。さらに #8 のルールで pro- は「プラ」。二重のトラップです。
🎯 練習のコツ: profit = 「プラフィット」をまず固める。そこに -able をつける。
#11 pediatrician のアクセント
🔊 僕の発音
pediatrician → 「ペディアトリシャン」(均等に読む)
🎯 ネイティブの発音
pediatrician → 「ピーディアトゥリシャン」(後半の “tri” に強いストレス)
長い単語ほど、ストレスの山と谷の差 が大切。全部を均等に読むと、ネイティブには「どこが大事な音かわからない」と感じるそうです。
🎯 練習のコツ: 長い単語は辞書でストレス位置を確認してから声に出す。
つなげて話す技術 — リダクションと連結
#12 walk away のリンキング
🔊 僕の発音
walk away → 「ウォーク・アウェイ」(2語を完全に分離)
🎯 ネイティブの発音
walk away → 「ウォーカウェイ」(”walk a way” のように3語に分けて繋げる)
A先生のアドバイス: “walk away” を “walk a way” だと思って読む。こうすると自然にリンキングされます。
🎯 練習のコツ: 2語の句動詞は、間にaを挟むイメージで繋げる。
#13 wanted to vs want to
🔊 僕の発音
wanted to → 「ウォントトゥ」(want to と同じ音になってしまう)
🎯 ネイティブの発音
want to → 「ワナ」(wanna)
wanted to → 「ウォンティッドゥ」(-ed の “id” 音をしっかり入れる)
want to が “wanna” に縮むのは知っていても、wanted to では -ed の音節が消えないことを見落としがち。砕けた発音では「ウォニットゥ」のように変化しますが、「イッ」という音節は必ず残ります。過去形の -ed を飲み込むと、現在形と区別がつかなくなります。
🎯 練習のコツ: wanted の -ed は「ティッド」としっかり発音。絶対に省略しない。
#14 “at all” の連結
🔊 僕の発音
not at all → 「ノット・アット・オール」(3語を分離)
🎯 ネイティブの発音
not at all → 「ノラロー」(t が弾音化し、全体が一語のように繋がる)
“not at all” はネイティブの口から出ると、もはや原形をとどめていません。t が弾音(フラップD/T)になり、全ての語が溶け合います。
🎯 練習のコツ: 「ノッ・タ・トール」→「ノタトール」→「ノラロー」と段階的に速くする。
#15 donations の do- は「ドウ」
🔊 僕の発音
donations → 「デネーションズ」(doを「デ」と読んでしまう)
🎯 ネイティブの発音
donations → 「ドウネイションズ」(doは「ドウ」。donate の do は “doh” の音)
“do-” を “de-” と読んでしまうのは、#9 の de- 系と混同しているから。donate、donor、domain — これらは全部「ドウ」です(一方、domestic のようにアクセントが後ろの単語では do- は弱い「ダ」になります)。
🎯 練習のコツ: do- は「ドウ」。”doh-nay-shun” とゆっくり分解して練習。
まとめ — 発音は「知る」だけで半分解決する
| カテゴリ | 代表例 | 核心 |
|---|---|---|
| 母音 | old, sleep, gone, calm | 日本語の5母音では足りない |
| ダークL | level, also, rules | 語末Lは「ウ」に近い |
| アクセント | project, depends, profitable | カタカナ語の記憶を上書きする |
| 連結 | walk away, at all, wanted to | 単語の境界を溶かす |
60回以上直されて気づいたのは、発音の問題は「口」じゃなくて「耳」から始まる ということ。
そもそも正しい音を知らなければ、練習のしようがない。A先生に「ここが違う」と具体的に指摘されて初めて、自分の発音のどこが間違っているかがわかりました。
独学のシャドーイングだけでは、この「どこが違うか」に一生気づけなかった可能性が高い。
シマちゃん(読者代表)
発音って「何が間違ってるかわからない」が一番の壁だよね…
フクさん(筆者)
そう。だからネイティブに「止めて直してもらう」経験が本当に大事。この記事が、まずは「知る」きっかけになればうれしい。
これ、ネイティブじゃないと指摘できないこと
発音の指摘は、ネイティブ講師の最大の独自価値だと思っています。
考えてみてください。”project” の “pro” が「プロ」ではなく「プラ」だなんて、文法書には書いてない。発音記号を見ても、日本人にはその違いがわからない。ダークLの存在に至っては、そもそも「自分が間違っていること」に気づけないのが最大の問題です。
発音アプリ(ELSA Speaking等)も試しましたが、「なぜその音になるか」「口のどこを変えればいいか」をその場で教えてくれるのはネイティブの人間ならでは。A先生の「口を丸めるのをやめて」「舌の奥を持ち上げて」という具体的な指示は、アプリのスコア表示では得にくい情報です。
Camblyなら、A先生のような発音矯正に強い講師をプロフィールで探して予約できる。しかもレッスンは全部自動録画されるから、指摘された箇所を何度でも見返せます。
🎯 発音を本気で直したいなら
発音矯正はネイティブに指摘してもらうのが最短ルート。僕の体験を正直にまとめた記事があります。
- Camblyを2年使った正直レビュー — 良い点も微妙な点も全部書きました
- Camblyの始め方ガイド — 100円体験レッスンの手順を解説
次回予告
「Cambly 300回の記録」シリーズ、次は流暢さの核心に迫ります。
- Vol.1(表現編): ネイティブに直された英語表現15選
- Vol.3(リンキング編): 英語が「カタコト」に聞こえる本当の理由 — 「カンマがないところで息継ぎするな」ルール
📚 Cambly 300回の記録シリーズ
- Vol.1: ネイティブに直された英語表現15選
- Vol.2(この記事): 日本人の発音、ここが変!
- Vol.3: 英語が「カタコト」に聞こえる本当の理由
- Vol.4: Cambly講師3人のレッスンを比較したら、伸びるポイントが全然違った
- Vol.5: Camblyフリートークで盛り上がった話題20選
- Vol.6: ストレス・イントネーション14選(強弱編)
- Vol.7: 「通じるけど」ネイティブは言わない表現14選(表現編 第2弾)


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